牛丼チェーン「すき家」の店舗で今年1月、1人で勤務していた女性アルバイト従業員(58)が倒れ、その後亡くなっていたことが分かりました。
女性アルバイト従業員が倒れた時間は午前5時過ぎのワンオペと呼ばれる1人勤務の時間帯。そのため女性の発見が遅れ、助からなかったのではないかと言われています。
女性アルバイト従業員がワンオペ業務をしていた「すき家名古屋ベイシティ前店」についてまとめます。
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すき家ワンオペ死亡店舗は「名古屋ベイシティ前店」
ワンオペ中にアルバイト女性が亡くなった「すき家」の店舗は、名古屋市港区であると報道されています。名古屋市港区にある「すき家」を調べてみると、4件の「すき家」があることが分かりました。

- すき家 港区南陽店
- すき家 名古屋ベイシティ前店
- すき家 港区小割通店
- すき家 港区甚平通店
文春オンラインでは、アルバイト女性がワンオペ勤務をしていた「すき家」の店舗の画像が公開されていました。

上記の画像を元に、Googleマップで該当店舗を特定していきます。

グーグルマップで調査すると、「すき家名古屋ベイシティ前店」が文春で公開されている「すき家」である可能性が高いと考えられます。文春の画像と比較してみると、3つの共通点がみつかりました。
- 店舗右側の植木が同じ
- 街頭の位置が同じ
- 道路を挟んでマンションが建っている
上記の共通点から、アルバイト女性がワンオペ中に倒れ亡くなっていた「すき家」の店舗は「名古屋ベイシティ前店」であると特定されました。
すき家名古屋ベイシティ前店「1人勤務は当たり前」
すきや名古屋ベイシティ前店の評判を調査していくと「提供時間が遅い」「テーブルが汚い」など、あまり評判はよくありません。

テーブル汚い。牛丼煮えすぎ

すき家が好きなので行くのだけど、ここは21時以降でお客が少なくてもオペレーションがだめ。提供が遅い(店員によるんだろうけど)麦茶が最後まで出てこなかった事もあります。
今はタッチパネルで注文になってて楽
合計とか出てくるし

お店に入り注文に25分程度でてくるのに30分以上かかるとこです、ここは最低ですね
牛丼の提供時間が遅いことや、テーブルが汚かったというのは、すき家「名古屋ベイシティ前店」で従業員のワンオペが常態化していて人手が足りていなかったことがうかがえます。
「すき家」で勤務中に倒れ亡くなったアルバイト女性は、時給がいい夜勤を希望して、21時から5時まで勤務することが多く、多店舗で人員が足りない時はヘルプで呼ばれることも多かったといいます。
女性が亡くなった1月17日の前日からの勤務状態が明らかになっています。
- 1月16日 22時出勤し2人体制で勤務
- 1月17日 5時 同僚が勤務を終え帰宅
- 1月17日 5時~9時 ワンオペ勤務
- 1月17日 5時26分 女性が厨房内で倒れる
- 1月17日 8時44分 シフト交代で訪れた従業員が倒れた女性を発見
亡くなった女性は、1月17日22時から翌日朝5時まで7時間勤務した後、引き続き早朝の時間帯を4時間もワンオペ勤務することになっていました。合計11時時間も連続勤務するシフトが組まれていたことに驚きます。
亡くなったアルバイト女性は、すき家でのワンオペ勤務を「仕事量が多すぎる」と度々夫に愚痴っていました。
「妻は仕事が”ワンオペ”であることをよく愚痴っていました。洗い物をして、調理して、レジを打って…。『仕事量が多い、1人でこんなに対応できるか』と。妻は倒れた後、3時間以上放置されていました。もっと早く発見されていたら助かった可能性もある、そう思うとやはり悔しいです。」
引用元:文春オンライン
すき家「ワンオペ解消」は嘘だった
すき家は、ワンオペ勤務が常態化していたことが原因で強盗のターゲットになることが多く、2012年から2013年に発生した牛丼店を狙った強盗事件の約8割がすき家だったということもありました。
社会的にも「すき家」のワンオペ勤務は問題となり、第三者委員会によって「すき家」の深夜のワンオペの禁止が提言され、「すき家」は深夜のワンオペの廃止を宣言していました。
しかし、「すき家」のワンオペは深夜時間帯の午前0時から午前5時までの間で解消されただけで、それ以外の時間帯ではアルバイト従業員のワンオペは続いていたのです。

俺もすき家でアルバイトしてるけどワンオペ全然ある。
店長がワンオペすることもあるしアルバイトの人でもワンオペすることあるよ。
店長とか休めない時期あるしテスト期間とか来るとアルバイトの子は全く入れないから仕方なくワンオペしてるった感じだね。
ほんとすき家はブラックだよ。

最近ワンオペ復活してるって噂になってたのは聞いた
数年前に割ときっちりとした第三者委員会の検証を行って、ブラックな体制は改善されたはずなのに…
家の近所に吉野家とすき家しかないから、牛丼屋さんはしばらく封印だわ
「すき家」は『2014年10月より、安全で安心して働ける環境の確保(防犯体制の強化)を目的として深夜時間帯の複数勤務体制を確立しました。その複数勤務体制が整わない店舗は、一時的に深夜営業を休止しました』と発表していましたが、実際には現在もワンオペ勤務が行われていたということになります。
女性アルバイトがワンオペ勤務中に亡くなった件に関して、文春側が「すき家」に問い合わせたところ、次のような回答がありました。
「山田さん(アルバイト女性)がお亡くなりになる直前の労働時間は法定の労働時間内であり、過剰な無理をさせていた事実はありません。しかし勤務時間帯は深夜であり、健康診断をきちんと受けていただいてご病気を早く察知できていれば大事には至らなかった可能性もあります。当社としては今後、全国の対象従業員に対して健康診断の受診を強く徹底してまいります」
引用元:文春オンライン
まるで女性が亡くなったのは、病気のせいでワンオペ勤務や長時間労働は関係ないと主張しているような「すき家」側の主張。しかし、この回答の直後、「すき家」から文春に次のような内容の文章が届けられました。
「本件を受け、すき家の経営方針として、本年6月30日までに全店の朝帯(5時~9時)で複数勤務とすることを決定しました」
引用元:文春オンライン
以前もワンオペが問題になり、深夜帯のワンオペを廃止したすき家。そのすき家で今回は朝帯のワンオペが原因で一人の従業員が亡くなっています。「すき家」は従業員の命を一体なんだと思っているのでしょうか。
深夜帯であろうが朝帯であろうが、「ワンオペ」が問題であり時間帯が問題なのではありません。女性従業員が亡くなり、今度は朝帯のワンオペを廃止すると発表したすき家。
従業員が亡くならないと、ワンオペ勤務体制を改善することができない「すき家」は、ブラック企業であることは間違いありません。
【追記】
亡くなったアルバイト女性とすき家の担当者のラインでのやりとりが遺族によって公開されました。

すき家担当者:「あと、今後についてご相談ですが、深夜のシフト、9時までもしくは早朝のみなどは出来ないでしょうか?時間等変動はありますが、今より稼ぐことは出来ます。」
女性:「写メ有難うございます。火曜日に連絡してみます。5時以降1オペの対応という事になるの意味でしょうか?
すき家担当者:「5時以降は週末以外ワンオペです。が、収入は確保出来ます。
女性:「1人でテンパると思いますがやらせて頂きます。」
しきりと「今より稼ぐことができる」とワンオペを女性に勧めるすき家担当者。ラインのやりとりから、しかし、文春によると、すき家側は女性が複数の店舗で「助っ人」として招集されてワンオペ勤務をしていたのは同意の上だったと発表しています。
亡くなったアルバイト女性の夫によると、女性は責任感が強い性格だったとのこと。すき家担当者からのワンオペ勤務の依頼も責任感の強さから断ることが出来なかった可能性もあります。
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